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アメリカ合衆国と大英帝国の政府ファイルから選出した文書
注記:数件の文書(document)は関連するグループを形成する複数件の論文(papaer)からなる。
DOCUMENT NO. 1 ペトログラードのフランシス大使から合衆国国務省への電文、およびロバート・ランシング国務長官からウッドロー・ウィルソン大統領への関連する手紙(1917年3月17日)
DOCUMENT NO. 2 ケレンスキーがドイツ政府に雇われていて、ボルシェビキを支援していることを非難する英国外国事務所(British Foreign Office)文書 (October 1917年10月)
DOCUMENT NO. 3 Kuhn, Loeb & Companyのヤコブ・シッフ、およびケレンスキーとボルシェビキ体制における彼の立場 (1918年11月)
DOCUMENT NO. 4 ニューヨーク連邦準備銀行取締役ウィリアム・ボイス・トンプソンから英国首相デイビッド・ロイド・ジョージへのメモ (1917年12月)
DOCUMENT NO. 5 フェリックス・フランクフルター(Felix Frankfurter)からソビエトのエージェントであるサンテリ・ヌオルテヴァ(Santeri Nuorteva)への手紙 (May 9, 1918年5月9日)
DOCUMENT NO. 6 1920年ニューヨークのソビエト支局の全職員; ニューヨーク州ラスク(Lusk)委員会ファイルからのリスト
p. 191
DOCUMENT NO. 7 ルドウィグ・マルテンスおよびジュリアス・ハマー博士に関する、National City Bankから合衆国財務省への手紙(1919年4月15日)
DOCUMENT NO. 8 ソビエトのエージェントであるウィリアム(ビル)・ボブロフからケネス・ヅラントへの手紙(1920年8月3日)
DOCUMENT NO. 9 J.P.モルガン商会のメンバーおよび英国のプロパガンダの指揮者ノースクリフェ卿に関するメモ(1918年4月13日)
DOCUMENT NO. 10 General Electric Co.に関する国務省メモ(1922年5月29日)
DOCUMENT NO. 1
ペトログラードのフランシス大使からワシントンD.C.の合衆国国務省への1917年3月14日付け電文で、ロシア革命の第一ステージについての報告(861.00/273)
ペトログラード
1917年3月14日付け
15日午前2時30分の記録
国務長官、
ワシントン
1287. 11日以後、電文を遅れなかった。革命家達はペトログラードを完全に掌握し、秩序を維持するために精力的な努力をしていて、それは稀な例外を除いて成功している。3月11日に受け取った9日付けの貴殿からの電文1251以降、新たな電文は届いていない。暫定政府がドウマ(the Douma)の権威の下に組織され、皇帝の散会命令に従うことを拒絶している。ドウマの大統領ロドジアンコ(Rodzianko)は彼自身の署名の入った命令書を発行している。閣僚達は辞職したと報告している。見つけられた大臣達はドウムの前に捕らえられていて、多くのロシア人公務員および他の高級官僚もそうである。ペトログラードに派遣された連隊は、全員ではないにしろ到着後に革命家の仲間になったならば、ほとんど。アメリカ人居住地は安全である。アメリカ市民に負傷者が出たとの情報はない。
フランシス、
アメリカ大使
上記電文を受け取るや否や、国務長官ロバート・ランシングはその内容がウィルソン大統領に伝わるよう計らった。(861.00/273):
p. 192
私信・親展
親愛なる大統領閣下
ペトログラードから届いたばかりの非常に重要な電文と、今朝のNew York WORLDからの切抜きを同封致します。その切抜きには、イタリア内閣における無任所大臣シグノール・シアロイア(Signor Scialoia)の声明文が載っていて、フランシス氏のレポートの見地で意義深いものです。私自身の印象は、連合国はこの問題について知っていて、王室関係者は戦争期間中密かに親ドイツであったので、革命家達にたぶん好意的であるということです。
敬具
ロバート・ランシング
同封物:
大統領
ホワイトハウス
コメント
ランシング-ウィルソン間の手紙における意義深い言葉は、"私自身の印象は、連合国はこの問題について知っていて、王室関係者は・・・であったので、革命家達にたぶん好意的であるということです"である。ニューヨークのWestinghouseおよびCrane Co所属で、ウィルソン大統領のアドバイザーであるチャールズ・R・クレインがこの最初の革命に関与していたと、ドッド大使が非難していたことが思い出されるであろう(第二章)。
DOCUMENT NO. 2
大英帝国外国事務所ファイル FO 371/2999(戦争―ロシア)、1917年10月23日、ファイルno.3743
DOCUMENT
私信・極秘
心配な噂があちこちから我々に届いている。ケレンスキーはドイツに雇われていて、彼および彼の政府はロシアを弱め、解体しようと全力を尽くしていて、それは単独講和以外の他の手段が可能にならないような状況に到達させんがためであるという噂である。そのようなほのめかしに何らかの根拠があって、効果的な行為を控えることによってその政府は意図的にボルシェビキ分子がより強くなることを許していると、貴殿はお考えになるでしょうか?
p. 193
万一、それが贈収賄の問題ならば、楽しい話ではないですが、それがどのように、またどのエージェントを通して為され得たかどうかを成功裡に競うことができるかも知れません。
コメント
ケレンスキーがドイツに雇われていたという情報に言及している。
DOCUMENT NO. 3
4つの部分から成っている。
(a) 1917年4月27日、ペトログラードのフランシス大使からワシントンD.C.への電文で、著名なロシア
のユダヤ人銀行家から著名なニューヨークのユダヤ人銀行家へのメッセージの伝達と、ケレンスキーの自由債券(Kerensky Liberty Loan)への彼らの応募を要求している。(861.51/139)
(b) アメリカのユダヤ人を代表するルイス・マーシャルからの返事(1917年5月10日):彼はアメリカの自由債券(American Liberty Loan)への支援を表明する一方、招待を辞退した。(861.51/143)
(c) Kuhn, Loebのヤコブ・シッフから国務省(ポーク氏)への手紙で、ボルシェビキに敵対して("なぜならば、ボルシェビキ政府はロシアの人々を代表していない")の連合国支援を求める、ロシアのユダヤ人銀行家カメンカからのメッセージを取り継いでいる。
(d) ヤコブ・シッフが取り継いだ、カメンカからの電文
DOCUMENTS
(a) 国務長官
ワシントン
1229、27番
次の述べることを、ヤコブ・シッフ、ブランディーズ(Brandies[原文のまま])判事、ゴッテイル教授、オスカー・ストラウス(Oscar Strauss[原文のまま])、ワイズ先生(Rabbi Wise)、ルイス・マーシャル、およびモルゲンソウ(Morgenthau)に申し渡してください。
『我々ロシアのユダヤ人は、ロシアの解放は我々の解放も意味すると常に信じていた。国に深く献身して、我々は暗黙の信頼を暫定政府に置いた。ロシアの無制限の経済力、その計り知れない天然資源、および我々が獲得した解放によって、我々は国の発展に参画できるであろうということを、我々は知っている。我々連合軍と合衆国の支援のお蔭で、戦争の勝利での終結は近いと我々は固く信じている。
p. 194
暫定政府は新しい自由公債(public loan of freedom)を発行しているが、戦争と平和のために必須のその債券を支援することは我々の国家的義務と我々は感じている。ロシアは公的債権の不動の力を持っていて、11件の必要な金融負担を容易に担うであろうと我々は確信している。我々は融資を支援するためのロシアのユダヤ人の特別な委員会を作ったが、その委員会は金融および産業貿易の仲間や指導的な公務員の代表者から成っている。
我々はあなたにこの文書で知らせて、海を越えた我々の同胞にロシアの自由 ―人道であり世界の文明化でもある― を支援することを要望する。我々はあなたにそこで特別な委員会を作ることを示唆する。また、自由債権の成功を支援するためにユダヤ人の委員会に対して実施する手筈について知らせてください。 ボリス・カメンカ委員長、アレクサンダー・グンズブルグ男爵、ヘンリー・シロスベルグ』 フランシス
* * * * *
(b) 親愛なる長官殿:
あなたが最近我々に連絡したペトログラードのグンズベルグ男爵、モルゲンタウ氏、シロスベルグ氏の電文の要求に応じて、あなたが御親切に、ロシアの自由債権への応募を求めることが得策であることに関して、モルゲンタウ氏、ストラウス氏、および私自身に与えたインタビューの結果を我々の仲間に報告した後、我々はあなたの助言に厳密に従って行動することを結論した。数日前、我々はペトログラードの友人に対して彼らの支援要求への迅速な返答を約束した。それ故、もし御許可頂けるならばであるが、次の電文を転送して頂けると有り難い。
『ボリス・カメンカ
Don Azov銀行、ペトログラード.
我々が相談した我が国の国務省は、いかなる外国債についても公的な応募を保障することに対する如何なる現在の試みも勧められないと考えている。アメリカの戦時国債の成功にすべての努力を集中することが不可欠で、それによって、我が政府は連合国にそうでない場合よりも低い利率で資金を供給することが可能だと考えている。それ故、ロシアの運動を最も効果的に助けるための我々のエネルギーは、アメリカの自由債権への応募を奨励することに必ず向けられなければならない。シッフ、マーシャル、ストラウス、モルゲンタウ、ワイズ、ゴンヘイル』
勿論のことであるが、あなたには、この示唆する内容の電文の言葉遣いを、あなたが適切だと思うように変更する自由がある。また、我々に寄せられた要求に直接我々が返答できないのは、我々の活動を最も効果的にするための切望によるものだということが分かるような変更として頂きたい。
p. 195
転送された電文のコピーをその費用のメモと一緒に私に送って頂けませんか? そうすることで、国務省は迅速に払い戻しを受けられるでしょう。
敬意を込めて
敬具
[署名] ルイス・マーシャル
国務長官
ワシントン D.C.
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(c) 親愛なるポーク殿: