2012年4月10日火曜日

アメリカはなぜ戦争をするのか--イラク戦争と軍事経済


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アメリカはなぜ戦争をするのか--イラク戦争と軍事経済

<見出し>

IT革命とアメリカ
アメリカ世紀末繁栄の崩壊
世界大恐慌と21世紀不況
イラク戦争がもたらした景気回復
アメリカ株価を支えた「戦争メッセージ」

2003年8月(05年7月にグラフ追加)
日野 学


 アメリカによるイラクへの侵略戦争が終結して4カ月が経過しました。人類がこれまでに築きあげてきた平和のルール、すなわち国連憲章と、世界の人々の戦争反対の声を無視してまでなぜアメリカは戦争を行ったのでしょうか。今後もアメリカは同様の先制攻撃を行うのでしょうか。

 この問題は多くの人々によって多角的に解明されるべき緊急の課題となっています。筆者はアメリカの戦争は、同国が1990年代半ばから2000年にかけて謳歌した世紀末繁栄の崩壊にその原因があること、そして同国株価の暴落を戦争という暴力で支えているとする視点から以下の拙論を述べたいと思います。

IT革命とアメリカ

 世界で最も発達した資本主義国家アメリカは、1990年代を通じて、特に95年から2000年にかけて、戦後最長・最大の繁栄を謳歌しました。一部には「ニューエコノミー論」と称して、アメリカではもはや景気の後退はなくなったとの言説まで登場しました。実際、<図1>のようにアメリカの株価(ニューヨーク・ダウ平均)は95年初頭の3,900ドル台から2000年1月のピーク1万1,722ドルまで、右肩上がりで上昇しました。5年間で約8,000ドルも株価が上昇したのです。

<図1>

 この時期のアメリカの国内総生産(GDP)を見ても、<図2>のように96年以降2000年まで年率約4%の成長率を誇り、他の主要先進国の日本、ドイツ、フランス、イギリスと比べても高成長を記録したことが分かります。

<図2>


 アメリカにこの繁栄をもたらしたのは、同国で開花したIT(情報通信技術)革命によるといわれます。IT革命とは、コンピュータを通信回線で結ぶインターネットによって、物質的及び情報的商品の生産と流通のスピードを格段に高め、短期間により多くの利潤を生み出すことを可能にした革命といえます。

 コンピュータが物質的商品、例えば自動車やICチップなどの生産力を高めることは、既に80年代からCAD(コンピュータ支援デザイン)、CAM(コンピュータ支援製造)、あるいは工作用ロボットによって実践されていました。マルクスが『資本論』で分析したように、「機械<筆者注:コンピュータも>は、…労働日のうち労働者が自分自身のために必要とする部分を短縮して、彼が資本家に無償で与える別の部分を延長すべきもの」「それは剰余価値を生産するための手段」(国民文庫、A巻245頁)なのです。

 それに対して1990年代半ばからのIT革命は、主として物質的・情報的商品の"流通"に革命を起こしました。例えば、IT関連企業で有名なアマゾン・コムは、インターネット上に仮想書店を開設し、消費者はパソコン画面から購入したい本を入力すると、そのデータが同社のコンピュータに送られて処理・発送されます。従来のように中間卸や書店を経由しないので、消費者はより早く割安の値段で書籍を購入できるのです。パソコンのネット販売を行っているデル・コンピュータも同じで、インターネットの画面上で注文を受け付け、それを同社のコンピュータネットで処理して、安くて早いを自慢のパソコン販売を行っています。 

 こうして90年代半ば以降、IT関連のIC製造業、コンピュータ製造業、ソフトウェア産業、通信企業、ネット関連企業などが活況を呈し、それに支えられてアメリカ経済全体も高成長を果たしました。IT関連企業の全経済への影響については、アメリカ商務省の『ディジタル・エコノミー2002/03』が、「経済成長率が平均4%だった1996年から99年にかけて、IT部門は平均してGDPの7%を占め、年平均伸び率は22%(実質)、アメリカの実質経済成長に対する平均寄与度は29%に達した」(東洋経済新報社、60頁)と説明しています。

アメリカ世紀末繁栄の崩壊


詐欺の理由法

 ところが経済の歴史が示すところによれば、経済はいつまでも発展することはできません。ある時点でその反対物、すなわち不況や恐慌に転化します。「いつでも事業は、まさに破局の直前にこそ、ほとんど過度なまでに健全に見える。…事業は相変わらずいたって健全であり、市況は引き続き繁栄を極めているのに、ある日突然崩壊が起きるのである」(『資本論』、F巻298頁)

 アメリカの世紀末繁栄も2000年に入って停滞を示し、やがて不況へと後退していきました。<図3>を見ると、アメリカの経済成長率は2000年第2四半期までは4%前後で推移していましたが、第3四半期を境にゼロ成長ないしはマイナス成長に転化しています。<図1>のアメリカの株価を見ると、2000年1月にピークの1万1,722ドルを付けた後、株価は激しく上下動を始め、2001年3月に1万ドルを割ってから傾向的に低下していきます。

<図3>


 アメリカ経済不況の原因として挙げられるのは、第一にITバブルの破裂です。「ナスダックも2000年前半以降、IT分野から急激に資金を引き揚げた」(『ディジタル・エコノミー2002/03』、8頁)、「通信インフラは設備過剰となり、通信機器への支出は大幅に削減された」(同書、9頁)、「2001年には、この10年間で初めてIT機器とソフトウェアへの企業投資は減少し、経済成長にマイナスの影響を与えた」(同書、xvii)のです。

 不況の第2の原因は、世紀末繁栄を支えていたアメリカ国民の個人消費が、株価の下落とともに落ち込み始めたことです。実は多くのアメリカ国民は、株に投資をしてその値上がり益で消費を拡大していました。アメリカの家計資産の54%、実に半分以上が株式関連に投資されていたのです(「混迷のアメリカ経済」、『経済』2003年1月号)。株価が下落すると個人資産も減少し、それが個人消費を冷やして景気を悪化させ株価をさらに下落させるという悪循環が発生しました。

 第3の原因は、不況に伴い企業が労働者の解雇を始めたことです。2000年半ばから2002年末にかけて、アメリカ製造業の労働者は約1850万人から1650万人へ約200万人減少、率にして1割強が人員削減されました。アメリカの失業率は00年までは約4%ほどで推移していましたが、01年に入ると急上昇し始め、03年に入って6%を突破しました。アメリカ国民の消費は、クレジット・カードによっても支えられていましたが、賃金の減少やリストラは個人破産を増大させ消費を減退させています。

世界大恐慌と21世紀不況

 こうした21世紀初頭の大不況に対してアメリカの支配層はどのような策を講じたのでしょうか。それが「戦時景気策」だったのではないかと筆者は考えています。アメリカの支配層には20世紀末繁栄とそれに続く大不況が、1920年代のアメリカ繁栄時代とそれに続く29年のアメリカ発世界大恐慌と重なって見えているのではないかと考えます。なぜなら、20年代繁栄と20世紀末繁栄は、次に見るようにその姿が驚くほど似ているからです。

 『アメリカの20世紀』(有賀夏紀、中公新書)によると1920年代繁栄では、@国民総生産が年5%以上成長したこと、A経済繁栄を支えた個人消費を増加させたのは、少額でも購入できる分割払いだったこと、B産業の拡大を支えたのは「自動車」という新しい商品だったこと、Cこの自動車と並んで普及した電話、ラジオなどが交通・通信革命を生んだことなどが特徴です。20世紀末繁栄は先述したように、@年率約4%で経済が成長したこと、Aクレジット・カードによる借金や、株への投資による値上がり益が消費を拡大したこと、B成長を支えたのはコンピュータやインターネットなどの新しいIT産業だったこと、Cインターネットによって新たな通信・流通革命が生まれたことが特徴で、両者は極めて酷似していま す。

 同書は20年代末の当時を、「…人々は好景気に酔いしれていた。…だぶついた金は株式や土地に回った。…株の高騰につられて、床屋や秘書やホテルのボーイなども耳よりな情報を得て小金を株に投資した。このとき、経済が1年以内に破綻し、アメリカ社会が深刻な危機に見舞われるなどと、誰が予想しえただろうか」(同書、131頁)と記述しています。


オーランドは、最も上の影響

 では1929年に始まる大恐慌からアメリカはいかに脱却したか。「アメリカ経済は、<第二次世界大戦の>戦争景気によって、大恐慌以来継続していた産業の停滞や失業を解消することができた」(『概説アメリカ経済』、萩原伸次郎ほか、有斐閣選書、67頁)のです。32年に大統領に就任したフランクリン・ローズヴェルトによって「ニューディール策」も実施されましたが、実際に大恐慌を乗り越えたのはニューディール策ではなく第二次世界大戦の「戦争景気」でした。

イラク戦争がもたらした景気回復

 今日のアメリカ支配層も、21世紀不況を戦争景気によって乗り切ろうとしているように思われます。その理由は第一に、戦争自体がIT産業に莫大な市場を提供することが挙げられます。アフガン戦争、イラク戦争で米軍はITの固まりである新型兵器や、それを支えるソフトウェアの指揮・統制システムを使用しました。『ブッシュの終わりなき世界戦争』(浜田和幸、講談社+α文庫)によれば、「たとえばヘルメットがその典型である。夜間暗視スコープはもちろん、通信用のマイクも付いている。そのうえ、位置確認のためのGPSも装着されている。…これら兵器のハイテク、スマート化には、コンピュータのソフトウェア開発技術が欠かせない。折からITバブルが弾けたアメリカでは、コンピュータ・エンジニアが大� �に軍需産業に吸収されるようになった」(同書、169頁)としています。

 暗視スコープで前線の兵士が見た映像は、通信衛星を介してリアルタイムで指令部に伝わります。「それを実現するのが、インテル・ペンティアムの標準プロセッサーやマイクロソフトのウィンドウズ・ソフトウェア」(同書、170頁)なのです。こうした指揮・統制システムに加えてイラク戦争では、レーザーで誘導されるレーザー誘導爆弾、GPS(全地球測位システム)衛星から送られてくるデータを受信して位置を確かめながら標的に向かうGPS誘導爆弾、内蔵されたICチップに地形を記憶して誘導される巡航ミサイル・トマホークなどのハイテク兵器が約2万発"消費"されました。

 これを受け、アメリカのIT関連のICメーカーやソフトウエア企業は、03年4−6月期に10%近い増収を果たします。例えばマイクロソフトの売上高は前年同期比11%増、インテルは8%増、テキサス・インスツルメント(ICメーカー)は8%増などとなっています。

 アメリカが戦争をする第2の理由は、戦争はIT企業だけでなく広範な産業に特需をもたらすからです。「アメリカの主要企業は、今日いずれも国防総省との軍需品契約に依存する比率を高めてきた。とりわけ、航空・宇宙産業、電子・情報・通信産業の軍需に依存する割合は高く、前者の企業としてマクダネル・ダグラス<ボーイングに買収>、ゼネラル・ダイナミクス、ロックウェル・インタナショナル<同>、ボーイング、ロッキード<ロッキード・マーティンに>、ユナイティド・テクノロジーなどの企業があり、後者の企業としてゼネラル・エレクトリック、ウェスティング・ハウス<ノースロップ・グラマンに買収>、ハネウェル<ゼネラル・エレクトリックに買収>、IBMなどが有名である」(『概説アメリカ経済』 、63〜64頁)

 <図3>を見ると、2000年第3四半期から低迷したアメリカの経済成長が、アフガン戦争を開始した2001年第4四半期からかろうじて停滞を脱しているように思われます。また、イラク戦争直後の03年4−6月期のアメリカのGDPは、前期比3.3%増を達成しましたが、このうち国防費の伸びは45.8%増でGDP増加への寄与度は個人消費に次いで第2位となりました。軍需企業の売上げでは、ロッキード・マーチンが1−3月期に前年比18%の増収、ノースロップ・グラマンが4−6月期で57%増を記録。ハイテク企業ではIBMが4−6月期に同10%増を記録しています。

 アメリカが戦争をする第3の理由は、戦後の「復興」がアメリカのゼネコンやインフラ関連企業に巨利をもたらすからです。現時点でイラクの「復興」事業は、軍隊を駐留させているアメリカの企業が独占しています。アメリカの国際開発庁は道路などの整備に当たるベクテル社、油田修復のケロッグ・ブラウン・アンド・ルート社、港湾整備を行うスティーブドリング・サービシズ・オブ・アメリカ社、空港管理事業のスカイリンク・エア・アンド・ロジスティックサポート社等々への発注を開始しています。


何が権利をサンプリングしている

 第4は、アフガンにしてもイラクにしても、それまでの独立国家を勝手にうち倒してアメリカの傀儡政権を樹立することで、石油等の利権を思うままにすることができるからです。レーニンは『帝国主義論』で、「金融資本に最大の『便宜』と最大の利益をあたえるのは、従属する国と民族との政治的独立の喪失と結びついているような従属である。半植民地はこの点での『中間物』として典型的である」(レーニン10巻選集、E巻266頁)と述べていますが、アメリカはアフガニスタンに「半植民地」ともいえる親米政権を樹立することに成功しています。アフガンの大統領に就任したカルザイ氏は、アメリカの石油会社ユノカルのコンサルタントとして働いていたからです。イラクでもアメリカ主導の親米政権樹立 が進められようとしています。

 レーニンは『帝国主義論』(1916年)で、植民地や半植民地の獲得・再分配が1914年から始まった第一次世界大戦の本質(第二次世界大戦も同様)であることを解明しましたが、アメリカが行ったアフガン戦争、イラク戦争も一種の半植民地獲得戦争と見ることができます。事実、イスラエルの諜報機関モサドは9・11同時多発「テロ」を「第三次世界大戦の始まり」と位置づけているといいます(前掲『ブッシュの…』、6頁)(注1)。

注1:ブッシュ大統領は9月7日、イラクやアフガニスタンの戦闘・復興のために、04会計年度補正予算として870億ドル(約10兆2000億円)を連邦議会に要請しました。この額は「第二次世界大戦以来最大」の軍事費となっているとワシントン・ポスト紙は指摘しています。

アメリカ株価を支えた「戦争メッセージ」

 そして第5に、これは現代資本主義の腐敗性を如実に示すものですが、アメリカは「戦争」のメッセージを市場に送ることで、かろうじてアメリカ株価の暴落をまぬがれているように思われるからです。

 <図4>はアメリカ株価のピークである2000年1月以降を見たものです。ピーク後株価は激しく上下動し、01年3月のITバブル崩壊後は傾向的に株価が下がってきています。図を見ると、ITバブル崩壊後に3回、アメリカ株価は暴落の危機を切り抜けてきたことが分かります。1回目は01年9月11日の米同時多発「テロ」前後、2回目はエンロンやワールドコムなどアメリカ大企業の粉飾決算が問題になっていた02年7月、3回目はイラクへの武力攻撃が米議会で議論された02年10月です。

<図4>


 1回目の9.11前後を拡大したのが<図5>です。図を見ると株価は9月11日の「テロ」当日より前の8月末から急落を始めていることが分かります(注2)。「テロ」発生の11日から株式市場は閉鎖されたので図では空白になっています。そして「テロ」後の9月21日を底にV字回復しています。この21日の前の20日の夜に、ブッシュ大統領はテレビを通じて世界に、アメリカは国際的なテロのネットワークに対して長期にわたる軍事行動を開始すると宣言したのでした。アメリカ株式市場で資金を運用している金融資本にとって、軍事行動=戦争が"アメリカ買い"につながることは明白です。これが株価V字回復の理由ではないかと考えます。

<図5>


注2:9月11日に発生した同時多発「テロ」は、実はアメリカ政府が犯人を"泳がせて"、「テロ」を工作したのではないかとの疑念がアメリカ国民の一部に広がり、ブッシュ大統領を相手に裁判も始まっています。事実日本の福田官房長官は01年9月12日深夜、「6日にアメリカから米国の権益を侵すテロが発生するかもしれないとの情報を得ていた」と記者会見しました。詳しくは前掲『ブッシュの終わりなき世界戦争』参照。

 こうしてアメリカは9.11の同時多発「テロ」を理由に10月にはアフガニスタンへの戦争を開始、翌02年1月には一般教書演説でイラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と決めつけ、9月の国家安全保障戦略で先制攻撃を公然と宣言したのです。


 2回目の株価急落であるアメリカ企業の粉飾決算危機前後を見たのが<図6>です。<図6>から、株価はワールドコムの不正会計が発覚した02年6月から急落を始め、7月23日を底に急回復しています。この23日はアメリカ下院で、対テロ戦争の予算約3兆円が承認された日でした。ちなみに24日は、アメリカ企業の会計を厳しくする会計改革法の成立の目処がたった日でもありました。

<図6>



 回復した株価はしかし<図6>のように、翌8月末になると早くも下落を始め、10月9日にITバブル崩壊後の最安値を付けた後、またもV字回復します。株価が上昇に転じた11日は、米議会でイラク攻撃の全権をブッシュ大統領に与えることが承認された日でした。

 株価は<図7>のように02年末から再び下落を始めますが、03年3月11日を底にV字回復します。上昇に転じた13日は、アメリカのパウエル国務長官が、国連安保理決議がなくてもアメリカはイラクへの先制攻撃をすることができると発言した日でした(注3)。この日以降アメリカの株価は上昇を続けています。イラクへの侵略を開始した翌21日には、株価は図のように急騰しました。イラク全土征服後も、戦争特需と「復興」期待から、株価は右肩上がりです。ブッシュ大統領がイラク戦争の終結宣言を空母上で行ったのは、アメリカは今後も戦争を続けるとのメッセージを株式市場に送ったものと理解できます。(05年7月までのアメリカ株価<図7-2>を追加)

<図7>

<図7−2>


注3:この3月13日は、イギリスの株価(FTSE100種総合)、ドイツの株価(DAX)、フランスの株価(CAC40)も2000年以降の最安値(12日)から反転・上昇を開始した日でした。グローバルに資金を運用している金融資本は、パウエル長官の"開戦メッセージ"を間違うことなく受け止めたわけです。

 以上の株価の動きを見ると、偶然の一致の可能性もありますが、世界の金融資本の総意を示すアメリカの株式市場に「戦争」のメッセージを送ることで、米政権はかろうじて株価の暴落から免れていると思われます。レーニンが述べたように、「今日資本家には戦争をやる理由があるばかりでなく、資本主義を維持しようと思えば、彼らは戦争をやらないわけにはいかない」(『帝国主義と社会主義の分裂』、10巻選集第F巻、125頁)のです。

 

 最後にアメリカが先制攻撃を行える要因を挙げたいと思います。それはソ連の解体によって、アメリカが経済的・軍事的に「独占国家」とも言える国になっていることです。<図8>はOECD加盟国の国内総生産(GDP)、<図9>は同加盟国の軍事支出を見たものです。「独占国家」アメリカの経済的・軍事的突出ぶりが際だっています。レーニンは、「自由競争には民主主義が照応する。独占には政治的反動が照応する」(「マルクス主義の戯画と『帝国主義的経済主義』について」、10巻選集F巻70頁)と述べましたが、現在まさにこのことが現実になっています。

<図8>

<図9>


 しかしアメリカの先制攻撃戦略は、20世紀の2度にわたる世界大戦の教訓に立って世界が合意した、国連憲章に基づく世界平和のルールを根底から破壊する行為です。歴史の歯車を強引に逆回転させようとしているアメリカには、必ずや歴史が「ならず者」の刻印を押し、審判を下すことでしょう。



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